お産の時「分娩室は暑い!暑すぎる!」という話を聞いたことがありますか?
友達から聞いたり、SNSなどが普及して、妊婦さんや産後のママの間では有名は話だそうです。
結論から言うと、確かに分娩室は暑くなりがちです。
もちろん感じ方や程度は人それぞれで、お産の経過やお産にかかる時間も影響すると思います。
この記事では
- 分娩室が暑いと言われるのはなぜか
- 室温が高くなる理由
- 暑さ対策
これらについて解説していきます。
分娩室が暑い理由
分娩室が暑い理由は
- 妊婦さんは非妊時より暑がり傾向
- 陣痛の痛みで暑くなる
- 室温設定が高い
この3点が中心だと思います。
①②は生理的な現象なので「だから③をどうにかしてくれ」というのが、産婦さんと家族の意見だと思います。
「③室温設定が高い」にも理由があります。
室温が高くなる理由
- 出生後の赤ちゃんの体温保持のため
- 陣痛促進のため
この2点が中心かと思います。
助産師サイドからの実体験とからめて説明していきます!
赤ちゃんの体温保持
これはよく言われているので知っている方も多いですよね。
生まれたばかりの赤ちゃんは全身が羊水に濡れているため、体温が低下しやすいです。
また、新生児期は体表面積が大きく皮下脂肪が少ないことから、低体温になりやすい特徴があります。
低体温は呼吸状態にも影響し、低血糖や活気の低下など様々な症状の原因になります。
そして一度低体温になると、自力で速やかに回復させることは難しく、悪循環を招きます。
なので最初から体温を下げないことが大切なのです。
そのためお産が近くなると冷房をオフにしたり室温を上げたりします。
この場面では「暑いと」言っても「赤ちゃんのために我慢しましょう」となってしまいます。
それなら「生まれる時は仕方ないのは分かったけど陣痛中暑いのはどうにかしてくれ」と思いますよね
もうひとつの理由を説明します!
陣痛促進のため
もうひとつは順調にお産が進行するためです。
体が冷えるとお産によくないと言われています。
例えば足元を温めると骨盤内の血流がよくなり、陣痛の促進につながります。
また体を温めることで、痛みに対する感受性が緩和する、つまり痛みを和らげることも期待できます。
痛くて体に力が入ると体力を消耗しやすく、体力がなくなると陣痛が弱くなって、痛いけど産まれないという悪循環を招きます。
お産をスムーズに進めるには、体を冷やし過ぎないことがポイントです。
ただ、ここでひとつ注意が必要なのは、発汗からの脱水です。
陣痛中は痛みで食事や水分が十分に摂れないことも多く、さらにたくさん汗をかくと脱水傾向になりやすいです。
お産の時にはある程度出血が伴います。
お産の時に脱水状態だと、出血量があまり多くなくても産後に貧血症状が出ることがあります。
脱水予防にはもちろん水分摂取が一番大事なのですが、私は余計な発汗を抑えるために陣痛中に産婦さんが暑がっていれば積極的に室温を下げるようにしています。
医療設備のない助産院や自宅出産の場合は考え方が変わると思います。
分娩施設や助産師によって対応が変わるのも、産婦さんにとっては戸惑うところかもしれません。
お産の進行状況と合わせて、今なにをすべきかを助産師と相談し、納得して陣痛を乗り切ることをおすすめします!
対策
赤ちゃんに配慮しつつ、お産がスムーズに進むように配慮しつつ・・・でも暑いものは暑い!
ということで、できる範囲での対策についてお話していきます。
ちなみに分娩室が暑いのは夏だけでなく通年なので冬でも油断できません!
- 暑い時は「暑い」と言ってみる
(勝手に空調設定を変えるのはあまりおすすめしません) - アイスノンを貸してもらう
- 冷えピタを貼る
- ハンディファンやうちわを使う
- 汗拭き用のタオルは必ず持っていく
- 足首が隠れる靴下を履いて足元は温める
- 付き添いの家族も服装に注意する
体を冷やし過ぎないことは大切なポイントです。
足元はしっかり温めつつアイスノンや冷えピタなどで局所を冷やしたり、家族にあおいでもらったりするのがおすすめです。
それでも我慢できなければ助産師に相談してみましょう
真冬だと家族の方はすごく厚着をしていて、産婦さんと一緒に汗だくになっていることがあります。
アウターの中は着込み過ぎないか、半袖or長袖のTシャツを中に着ていったり、持っていくといいと思います。
まとめ
不思議なことに、産婦さんの精神面は陣痛に影響することがあります。
例えば、入院して安心すると陣痛が弱くなったり強くなったり。
助産師がそばにいて会話していると、陣痛が間延びしたり、逆に強くなったり。
不安な気持ちだと痛みを強く感じてしまうこともあります。
お産の時の精神状態は、陣痛そのものや陣痛との向き合い方にも大きく影響します。
事前に気になることがあれば、理由や対策を知ってお産に向けた準備をしていきましょう。