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赤ちゃんに必要な「ケイツーシロップ」。
新生児に不足しがちな「ビタミンK」を補うために、赤ちゃんに飲んでもらうシロップです。
ケイツーシロップは赤ちゃんの命を守るために大切なものなのですが、「添加物が多い」「必要ない」などということが一部で度々話題に上がります。
赤ちゃんが飲むものなので安全なものか心配になりますよね
ケイツーシロップがどんなものなのか解説していきます!
- ケイツーシロップとは?必要な理由
- 赤ちゃんが飲んでも安全?
- 無添加・オーガニックのビタミンK製剤はある?
- ケイツーシロップのあげ方
ケイツーシロップはどうして必要?
ケイツーシロップは、エーザイで製造されている「ビタミンK」のシロップ製剤の名称です。
ビタミンKは脂溶性ビタミンで、体内の出血を止める作用に必要な成分です。
つまりビタミンKが不足すると、出血しやすくなったり、出血が止まりにくくなったりします。
これを、ビタミンK欠乏性出血症といいます。
新生児や早期乳児はビタミンK欠乏性出血症を発症しやすく、頭蓋内出血を起こすと、命に関わったり後遺症が残ります。
このため、赤ちゃんは生後3か月頃までケイツーシロップを飲むことが推奨されています。
母乳ではビタミンKが不足しがち
母乳中に含まれるビタミンKの量は少なく、個人差も大きいと言われています。
また、母乳を飲んでいる赤ちゃんは、腸内でビタミンKを産生する量も少ないとされています。
授乳の後半に出てくる母乳には、はじめに出る母乳よりもビタミンKが含まれているので、時間制限をせずに、しっかり赤ちゃんが満足するまで飲ませることも大切です。
人工乳にはビタミンKが含まれる
粉ミルクや液体ミルクには、ビタミンKが含まれています。
完全ミルク栄養の赤ちゃんであっても、少なくとも1か月健診まではケイツーシロップを内服することが推奨されています。
ケイツーシロップに含まれる添加物

安息香酸ナトリウム クエン酸水和物 ゴマ油 水酸化ナトリウム ソルビタン脂肪酸エステル D-ソルビトール液 パラオキシ安息香酸エチル プロピレングリコール ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60 香料
ケイツーシロップにはこれらの成分がごく微量含まれていますが、赤ちゃんが飲んでも大丈夫なものとして製造されており、現在までに健康被害は報告されていません。
例えば、安息香酸ナトリウムは食品や飲料などの保存料として、私たちが日常で摂取する多くの食品に使用されています。
それでも、日頃からこういった添加物を避けていたり、オーガニックの食品を好んで摂取している方には抵抗があるかもしれません。
妊娠中や授乳中で気をつけるようになったという方もいると思います。
さらに、赤ちゃんが口にするものということで不安になったり、飲ませたくないという意見があり、ケイツーシロップに含まれる添加物は定期的に話題に上がります。
オーガニックのビタミンK2
頭蓋内出血のような大きな病気を予防するためには、やはりビタミンKを補うことが重要です。
添加物が気になる方には、無添加やオーガニック認定のビタミンK製剤があります。
ChildLife Essentials(チャイルドライフ・エッセンシャルズ)の「子供用液状オーガニックビタミンK2」
こちらはUSDA(米国農務省)からオーガニック認定を受けた、ビタミンK2です。
製造国:アメリカ
使用方法:0-12ヶ月の乳児 1日おきに1滴
人工着色料・香料・甘味料は不使用です。
<成分>
ビタミンK2 (MK-7) オーガニックMCTオイル オーガニック天然ミックスベリーフレーバー ココナッツ
ケイツーシロップの添加物がどうしても気になる方におすすめです。
こちらを使用したい場合は、事前に産院に持ち込み可能か確認しましょう。
ケイツーシロップのあげ方
ケイツーシロップの内服方法は「3回法」と「3か月法」があります。
現在推奨されているのは「3か月法」で、週に1回、全部で13回赤ちゃんに飲ませてあげます。
1回目は哺乳確立時、2回目は退院時を目安にします。
3回目以降は自宅であげていきます。

原液のままあげる
1回に1包を飲ませます。
ケイツーシロップを清潔なスプーンや乳首に移してあげましょう。
温めなくて大丈夫です。
薄めてあげる
ミルクや湯冷まし、母乳などと混ぜてあげる場合には、ケイツーシロップが全量飲めるように、全体の量を飲み切れる量(10ml程度)にしましょう。
週に1回、同じ曜日に
退院後は週に1回、毎週同じ曜日に、11回(病院で2回、全部で13回)あげます。
退院時に曜日を教えてもらえるので、その曜日に忘れずに飲ませてあげるようにしましょう。
ケイツーシロップ以外のビタミンK製剤を使用したい場合には、産院の先生に内服方法を確認してください。(製品の使用方法は必ず自分でも確認しましょう)
ケイツーシロップのQ&A
何時にあげればいい?
時間に決まりはありません。
毎回、同じ時間に飲ませる必要もありません。
思い出した時や都合のいい時に飲ませてあげましょう。
飲み忘れたらどうすればいい?
飲み忘れた時には、思い出した時に飲ませてあげて下さい。
飲み忘れた期間が数日であっても数週間であっても、対応は変わりません。
- 思い出した時点で飲ませてあげる
- 決められた曜日にあげるか、新たに飲ませる曜日を決める
- 毎週忘れずに飲ませられるよう工夫をする
ケイツーシロップは病気の治療をしているわけではなく、あくまでも予防の観点から内服をします。
飲み忘れても過度に心配する必要はないので安心してください。
毎日飲ませてしまった
現時点で、ビタミンK過剰症の報告はありません。
わかった時点から週に1回、曜日を決めて飲ませてあげるようにしてください。
吐き戻した
吐き戻しても基本的には気にしなくて大丈夫です。
また次週に飲ませてあげてください。
ミルクをあげていても必要?
粉ミルクや液体ミルクなどの人工乳にはビタミンKが含まれています。
日本小児科学会の「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)」では、1か月健診の時点で人工栄養が主体(おおむね半分以上)の場合には、ケイツーシロップの投与を中止してもよいとしています。
1か月健診までは1週間毎に飲ませてあげましょう。
それ以降は、1か月健診や予防接種の際に、小児科医に相談してみてください。
ケイツーシロップを飲ませたくないのですが
現時点では、ビタミンK欠乏性出血症予防のためにはビタミンKを補充することが有効であることが分かっており、ケイツーシロップは乳児に与えるのに十分安全な医薬品とされています。
日本小児科学会の新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症予防のためのガイドライン(2011年改訂)でもケイツーシロップの予防投与が推奨されています。
産婦人科医・小児科医は必ず飲ませるように伝えると思いますが、それでもいやな場合は、リスクを理解した上で産院に伝えましょう。
医療者は患者さんに強制することはできませんが、もちろん自己責任となることは理解が必要です。
添加物などが気になる場合には、オーガニックのもの自分で用意することも検討してみてください。
ケイツーシロップ以外のものを与えたい時には、事前に産院へ相談が必要です。
【まとめ】ケイツーシロップは大切なもの
ケイツーシロップにはごく少量の添加物が含まれているため、生まれてすぐの赤ちゃんに飲ませるのに抵抗がある方もいますね。
「ケイツーシロップは危険」「不要」という極論が、SNSなどで時折話題になることもあります。
でも、ケイツーシロップ(ビタミンKの補充)は、新生児期から早期乳児のビタミンK欠乏性出血症を予防するために、とても大切なものです。
特に生後2週以降に発症すると頭蓋内出血を起こす症例が多く、後遺症が残ったり、命にかかわることとなります。
パパ・ママの意思はもちろん大切ですが、赤ちゃんにとって何が一番いいのかを客観的な視点も交えて冷静に判断することも重要です。
どうしても抵抗がある方には、オーガニック認定を受けているビタミンK製剤がおすすめです。
ケイツーシロップ以外のビタミンK製剤を赤ちゃんに与えたい場合には、
- 持ち込みが可能か
- 赤ちゃんに飲ませてもいいか
- その産院で受け入れが可能か(お産やその後の母子の入院管理が可能か)
これらについて、できるだけ早めに通院中の産院に必ず確認しましょう。