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病院勤務で助産師をしているまめこです。
産後は、赤ちゃんがおっぱいを吸う「直接授乳」を予定している方が多いと思います。
授乳がスムーズにできるように妊娠中から準備することをおすすめします!
母乳育児希望でなくても、「混合希望=直接授乳をする」ということです。
授乳の準備は赤ちゃんがおっぱいを吸いやすくするという目的があるので、完全ミルク希望という方以外は必要なケアになります。
そして授乳準備のために乳頭ケアクリームを使うのがおすすめなので、乳頭ケアクリームを使った乳頭のケア方法を紹介したいと思います!
この記事では、
- 妊娠中の乳頭ケアはなんのためにする?
- 乳頭ケアクリームってどういうもの?
- ケアの方法は?いつからすればいい?
こんな疑問を解決していきます!
乳頭ケアの目的
乳頭ケアには次のような目的があります。
- 乳頭を清潔に保つ
- 母乳の分泌を促す
- 乳頭・乳輪部を柔軟にして赤ちゃんが吸いやすいようにする
- 皮膚を鍛錬してキズをできにくくする
- 保湿して刺激から守る
乳頭の形と授乳の関係

授乳には「乳頭の形」と「乳頭・乳輪部の柔軟さ」が大きく影響します。
乳頭の形だけで決まるわけではないのですが、何もケアしていない状況では正常乳頭が一番赤ちゃんが吸い付きやすく、乳頭が短くなるにつれて吸い付きにくくなる傾向があります。
まずは自分の乳頭の長さを確認しましょう。
陥没乳頭の方は別の記事でケア方法を紹介しているのでぜひ参考にしてみてください!

乳頭の長さだけでなく、大きさもひとそれぞれです。
日本人の乳頭の直径は1㎝程度と言われています。
乳頭が大きすぎたり長すぎたりすると、赤ちゃんがなかなか吸いつけないことがありますが、どんな乳頭の形でも乳頭ケアは授乳を始めるのに基本のケアです。
まずは乳頭ケアをしてみて、気になることがあれば通院している病院に相談することをおすすめします。
乳頭ケアクリームとは
妊婦さん、授乳婦さん専用の乳頭に塗るクリーム・オイルがあります。
ラノリンやバーユなどの保湿成分でできています。
ラノリンは羊由来、バーユは馬由来の天然保湿成分で赤ちゃんの口に入っても問題ないものです。
メデラのピュアレーンなどが代表的です。
ピュアレーンはラノリンからできています。
ピュアレーンの成分は天然ラノリン*100%。無香料・無着色で添加剤や保存剤を含みません。
メデラ公式より
*ラノリンは、羊毛から抽出した羊毛脂で、抱水性の高い天然物質です。優れた保湿成分が皮膚を保護し、カサツキや荒れを防ぎます。


硬めのクリームなので手に取りやすいです。
成分がオイルに近いので手に取ると熱で軟化して、少量ですごく伸びます。
写真は携帯用の7gですが、妊娠中から使う時には37g入りの方がおすすめです!
妊娠中から乳頭ケアクリームを使用していて、入院時に持参する方がとても多いです!
みなさん妊娠中からケアされているんですね
メリット
乳頭ケアクリームのメリットについてです。
- 天然成分で赤ちゃんの口に入っても安心
- 乳頭・乳輪マッサージの時に摩擦刺激を軽減する
- 保湿をして授乳時にキズができるのを予防する
- 授乳でキズができた時に痛みを軽減する、治りを早くする
- ラノリンやバーユの成分が肌を柔らかくする効果があると言われている
- リップケアやハンドクリームとしても使える
保湿をして授乳で起きるトラブルを予防したり、キズの回復を手助けしてくれます。
乾燥しているとキズができやすく、保湿した方が治りは早くなります。
実際、痛みがマシになったと言われるママさんは多い印象です。
また乳頭・乳輪が柔らかい方が赤ちゃんが吸いやすいく、吸われた時にキズもできにくいので肌を柔らかくしてくれるのは授乳にとって大きなメリットです。
デメリット
続いてデメリットも紹介しておきます。
- 授乳が続いて塗る暇がない
- キズに塗っても痛みがよくならない
- 授乳の合間に塗るのが面倒
産科スタッフとしては、入院中は授乳でキズができたり痛みがあるという方に「こういうものありますよ」という感じで紹介しています。
その時は購入するママさんが多いです。
逆にトラブルがない方にはわざわざ紹介しないので、特に必要がないという方がいるのも理解できます。
あくまでも天然成分であって薬ではないので、塗って劇的に痛みがよくなったりキズが治ったりするものではありません。
痛みの感じ方は人それぞれなので、実際患者さんと接していても「手間でも使った方がいい」と感じて使う方もいるし、「結局痛いなら我慢する」という方もいます。
デメリットに関しては、授乳開始後にキズなどのトラブルがあって初めて使用した方の意見が多い印象です。
妊娠期からケアをしてキズそのものを予防していきたいですね!
乳頭ケアの方法
乳頭ケアクリームを使った乳頭ケアの方法について紹介していきます。
ピュアレーンの紹介をしたので、ここからは「ピュアレーン」と表記しますが、他のものでも問題ありません!
乳頭ケアの目的について確認します。
- 乳頭を清潔に保つ
- 母乳の分泌を促す
- 乳頭・乳輪部を柔軟にして赤ちゃんが吸いやすいようにする
- 皮膚を鍛錬してキズをできにくくする
- 保湿して刺激から守る
乳垢を取る
まずは乳頭ケアの目的の
- 乳頭を清潔に保つ
- 保湿して刺激から守る
の部分です!
母乳は妊娠中から少しずつ分泌しはじめます。
ごく少量のため気づかずにおっぱいにこびりついて固まったものを「乳垢」「乳カス」などといいます。
授乳の時に赤ちゃんがくわえるので乳垢が溜まらないように清潔に保つ必要があります。
母乳の分泌は妊娠の5~6か月頃から始まると言われています。
乳頭ケアを始める明確な時期はないのですが、だいたい24週あたりから乳垢ケアを始めるといいと思います。
早くに母乳の分泌が始まっても十分に間に合う時期です。
乳垢の取り方
- 乳頭にピュアレーンを塗ってやさしく浸透させる
乳頭を刺激しすぎるとお腹が張ることがあるので刺激しすぎないように注意 - ラップをつけてまずは10分程度放置
乳垢の溜まり具合で時間を調整 - シャワーで洗い流すorやさしくふき取る
シャワーで流す方が刺激が少なくおすすめ - 入浴後にピュアレーンを塗って保湿する
ケアは1日に1回で十分です。
石鹸を使ったりゴシゴシ洗う必要はありません!
乳垢がたくさん溜まっている場合は一度に落としきらなくて大丈夫です。
落ち切らない分は翌日以降にケアしましょう
乳頭・乳輪マッサージ
乳頭・乳輪マッサージは35~36週頃から始めるようにしましょう。
マッサージは、乳頭ケアの目的の
- 母乳の分泌を促す
- 乳頭・乳輪部を柔軟にして赤ちゃんが吸いやすいようにする
- 皮膚を鍛錬してキズをできにくくする
- 保湿して刺激から守る
の部分をクリアするために行います!
マッサージの仕方
- 乳頭・乳輪部にピュアレーンを塗る
- 親指と人差し指を乳輪の外側に置き、軽くつまみながら乳頭の先へ指を移動させる
- 乳頭をつまんで伸ばしたり、ひねったりしてやさしくほぐす
入浴時や入浴後にするのがおすすめです。
赤ちゃんは乳頭の先ではなく乳輪全体をくわえて吸いつきます。
短乳頭や扁平乳頭の場合は、舌を巻き付けられるほど乳輪部が柔らかければ、赤ちゃんが吸える可能性は高くなります。
よく「ボーリングの玉」と「風船」に例えられるのですが、自分がボーリング玉と風船に吸い付くのを想像してください。
ボーリング玉の方は吸おうとしても硬くて滑ったり空気が漏れてしまうのですが、風船の方は柔らかいのでつぶしてかぷっとくわえられそうですよね。(割れそうで怖いのは一旦忘れてください・・・)
乳輪部からほぐすのがポイントです!
妊娠中のケアの注意点
乳頭の刺激はお腹の張りにつながることがあります!
乳頭を刺激するとオキシトシンというホルモンが分泌されるのですが、オキシトシンは子宮の収縮を促す働きもあります。
切迫早産の方や36週未満の方でマッサージするとお腹がよく張る場合には、病院に相談してケアの方法や時期を考えましょう。
逆に37週を過ぎたらお産の準備のためにも積極的にマッサージするのがおすすめです
産後のケア
産後は授乳が始まります。
乳頭ケアクリームを使用しそのまま授乳して問題ありませんが、たまにクリームで滑って赤ちゃんがうまくくわえられないことがあります。
そんな時は軽く拭いてから授乳すればOKです。
保湿と乳頭・乳輪マッサージ
授乳の合間にピュアレーンを塗って保湿しましょう。
正期産は37週~42週未満ですが、36週から乳頭・乳輪マッサージを始めて37週にお産になった場合、ケアは不十分かもしれません。
特にお産当日~翌日など、助産師・看護師にマッサージを促された時には、授乳の合間にマッサージをするようにしましょう。
乳頭ケアクリーム+ラップでケア
キズが下着に擦れて痛い時は、ピュアレーンを塗った上からラップで保護すると擦れる痛みが緩和されます。
ラップの中は蒸れるので、衛生面から授乳前に軽く拭う、ラップは授乳毎に交換するということに気をつけてください。
まとめ
実際私が仕事をしている中では、妊娠中に何もケアしていないという方は多くいます。
特に問題なく授乳できる方はいますし、赤ちゃんが吸いつけない時に「乳頭ケアしていたら吸えそうなのになぁ」と思うこともしばしばあります。
また授乳を始めてキズや痛みなどのトラブルが起きることは頻繁で、多くの方にみられます。
産後はホルモンバランスが崩れていて精神面が不安定になりやすいところに、授乳で休めなくて疲れていたり、慣れない育児で不安や戸惑いを抱えているママさんは少なくないです。
そこにさらに「赤ちゃんが吸えない」「吸われると痛い」「痛くて授乳したくない」というのは、かなりメンタルにくるんですよね・・・。
妊娠中に、毎日でなくても少しずつケアをして、産後のママさんの負担が減るといいなと思います!
授乳は乳頭の形や赤ちゃんとの相性もあります。
「乳頭ケアをしたから必ずうまくいく!」と意気込み過ぎず、気軽な気持ちで始めてみてください。
やった分変化は感じられるはずです。