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陥没乳頭で授乳がうまくいくか心配という方がいると思います。
授乳には、「乳頭の大きさ・長さ」「乳頭・乳輪部の柔軟さ」が大きく影響し、乳頭の長さですべてが決まるわけではありません。
陥没乳頭の方は最初の授乳が難しいことがありますが、妊娠中のケアで改善されるケースもあります。
この記事では
- 陥没乳頭だとおっぱいは吸えない?
- 乳頭ケアはどうして必要?
- 乳頭ケアをしたら赤ちゃんが吸えるようになる?
- 乳頭ケアはやり方は?
このような疑問を解決していきます。
陥没乳頭とは
乳首の先のことを「乳頭」といいます。
乳頭の形は大きく分けて、正常乳頭、扁平乳頭、陥没乳頭があります。
乳首の先が埋もれて外側から見えない状態を陥没乳頭といいます。
授乳には「乳頭の形」と「乳頭・乳輪部の柔軟さ」が大きく影響します。
乳頭の形だけで決まるわけではないのですが、何もケアしていない状況では正常乳頭が一番ラッチオンしやすく、乳頭が短くなるにつれてラッチオンは困難になる傾向があります。
ラッチオンとは赤ちゃんがおっぱいを口に含み正しく吸着すること、またそのためにママが行う動作のことをいいます。ちゃんと吸えていることくらいに考えて問題ありません。
陥没乳頭の種類
陥没乳頭は二種類に分けられます。
乳輪部をつまんで刺激した時に、乳頭が突出するタイプを仮性陥没、刺激しても突出しないタイプを真性陥没といいます。
仮性陥没の場合は突出した時の乳頭の形もチェックしましょう
陥没乳頭で起きやすいトラブル
陥没乳頭ではどんなところが大変なのかみていきましょう!
赤ちゃんが吸えない
赤ちゃんがおっぱいを吸う時には、舌に乳頭・乳輪部を巻き付けて吸います。
陥没乳頭では巻き付けるための突起がないため、赤ちゃんは吸い付きにくく授乳がうまくいかないことが多いです。
実際、陥没乳頭のママさんはたくさんいます。
それでも(軽度の仮性陥没の方を除いて)ケアなしにすんなりと赤ちゃんが吸いつけるケースには私はまだ出会ったことがありません。
乳垢が溜まりやすい
母乳は妊娠中から少しずつ分泌しはじめます。
ごく少量のため気づかずにおっぱいにこびりついたものを「乳垢」や「乳カス」などといいます。
赤ちゃんがくわえる部分なので、そのままにしておくのは衛生的によくありません。
陥没乳頭では乳頭部分が見えないので乳垢が付いていても気づかず、ケアがしにくいという面があります。
赤ちゃんの口に入るのでキレイにしておきたいですね
キズができやすい
陥没乳頭では、乳頭部分が埋もれているので、外部の刺激に触れることがありません。
例えば、下着に触れる、シャワーの水圧が当たるなど日常のごく自然な刺激にも慣れていないのです。
そこに赤ちゃんが一日に何回も吸う刺激が急に加わると、赤い発赤ができたりキズができて出血したりすることがあります。
妊娠中のケア
授乳をうまく進めていくためには、妊娠中のケアがとても重要です!
妊娠中にできる乳頭のケアについてみていきましょう。
乳頭・乳輪部のマッサージ
乳頭・乳輪部のマッサージは陥没乳頭の方だけでなく、直接授乳を希望する方全員に必要なケアです。
乳頭・乳輪部のマッサージは35~36週頃から始めるようにしましょう。
陥没乳頭の方がマッサージする時の目的とポイントはこの4つです。
- 乳頭を突出させる
- 皮膚を鍛錬してキズをできにくくする
- 保湿して刺激から守る
- 母乳の分泌を促す
マッサージの仕方
- 親指と人差し指を乳輪の外側に置き、圧迫して乳頭を突出させるようにする
- 乳頭が突出したらつまんで伸ばしたり、ひねったりしてやさしくほぐす
- 乳頭が突出しない場合は乳輪部のマッサージを繰り返す
入浴時や入浴後にするのがおすすめです。
赤ちゃんは乳頭の先ではなく乳輪全体をくわえて吸いつきます。
舌を巻き付けられるほど乳輪部が柔らかければ、赤ちゃんが吸える可能性は高くなります。
よく「ボーリングの玉」と「風船」に例えられるのですが、自分がボーリング玉と風船に吸い付くのを想像してください。
ボーリング玉の方は吸おうとしても硬くて滑ったり空気が漏れてしまうのですが、風船の方は柔らかいのでつぶしてかぷっとくわえられそうですよね。(割れそうで怖いのは一旦忘れてください・・・)
乳輪部からほぐすのがポイントです!
乳頭ケアクリーム
マッサージの時には乳頭ケアクリームを使うのがおすすめです。
乳頭ケアクリームは羊・馬由来の天然の保湿成分からできていて、赤ちゃんの口に入っても問題ないものです。
- マッサージする時の摩擦刺激を緩和してくれる
- 保湿して突出した乳頭を保護してくれる
- 赤ちゃんの口に入っても大丈夫なのでいつお産になっても安心
- 産後の乳頭ケアに使える
このようなメリットがあります。
乳頭ケアクリームはメデラの「ピュアレーン」やママチャームの「ラノリンクリーム」などたくさんの商品があります。
乳頭専用のクリームであればどれでも気に入ったものでかまいません。
特に授乳中やお産が近い週数では、通常のオイルなどで代用しないように注意しましょう。
ピュアレーンについてはこちらの記事で少し紹介しています。
乳頭が突出した状態を保つ
授乳のためには、できるだけ乳頭が突出した状態を保つ必要があります。
まずは乳頭・乳輪部のマッサージをして突出させるようにします。
突出させる機会を増やすことで、一回に突出する時間が長くなったり、突出した状態をキープできるようになるのが理想です。
乳頭吸引器
マッサージをしても乳頭が突出しない場合には、乳頭吸引器を試してみてください。
ゴム球のポンプがついた吸引器があります。
使い始めは吸引して突出するかしないか、突出してもすぐに引っ込んでいくことがほとんどです。
毎日、繰り返しケアしてください。
ポンプ式の吸引器だと、突出しても一時的なもので、なかなかキープできないことが多いです。
そんな方には装着しておけるタイプもあります!
患者さんの中でも、真性陥没でこのタイプを使って一生懸命準備してた方がいました。
はじめは少し出血したこともあったそうですが、授乳を始める時点では突出した状態がキープできていましたよ。
乳頭を清潔にする
マッサージや乳頭吸引器で乳頭が突出した時に、乳垢などをキレイにふき取ります。
乳頭ケアクリームを使ってやさしくふき取ったり、入浴の時にシャワーで洗い流せばOKです。
石鹸を使ったりゴシゴシ洗う必要はありません!
妊娠中のケアの注意点
乳頭の刺激はお腹の張りにつながることがあります!
乳頭を刺激するとオキシトシンというホルモンが分泌されるのですが、オキシトシンは子宮の収縮を促す働きもあります。
刺激でお腹が張り過ぎると早産のリスクがあるので、マッサージなどの積極的なケアは35~36週頃から始めるようにしましょう。
ただ乳頭の突出をキープできるようになるには、ある程度の時間が必要なんですよね。
特に乳頭吸引器を使用しないといけない場合は、早くに使い始めた方が有利です。
乳頭の状態と健診での状態とを合わせて、ケアの時期や方法を病院と相談していくのがいいと思います。
母児の安全を優先するようにしましょう。
逆に37週を過ぎたらお産の準備のためにも積極的にマッサージなどをするのがおすすめです
産後の対処法
産後は授乳が始まります。
すんなりとうまくいけばいいのですが、うまくいかないからと言ってあきらめる必要はありません!
乳頭・乳輪部のマッサージを続ける
産後もマッサージや乳頭吸引器の使用を続けましょう。
正期産は37週~42週未満ですが、36週からマッサージを始めて37週にお産になった場合、ケアは不十分かもしれません。
赤ちゃんが吸い付きやすいおっぱいにするためにケアを続けましょう。
また母乳は赤ちゃんが吸う刺激で分泌が促されます。
しっかり吸いつけない時は、乳頭マッサージが赤ちゃんが吸う刺激の代わりになります。
直接吸えなくてもあきらめない
どうしても直接吸えない時には、「乳頭保護器」があります。
入院中に相談しながら、必要であれば購入を検討するといいと思います。
乳頭保護器で母乳の飲み取りが不十分な時には搾乳器を使用することもあります。
乳頭保護器を使って赤ちゃんが吸う刺激や搾乳器の刺激で、乳頭が引っ張られて突出する・柔らかくなる・母乳分泌が増えるなど、いい方向に向かっていくこともあります。
入院中は長く続く授乳期間の始まりの数日にしか過ぎません
慌てずに、悩み過ぎずにできることをひとつずつしていくことが大切です
乳頭ケアは無駄じゃない
授乳をはじめてすぐにうまくいかないからといって、乳頭ケアが無駄になるわけではありません。
乳頭ケアを続けたことで母乳の分泌がよくなったり、乳頭保護器を使ったときにすんなりとうまくいったり、直接吸いつける時期が早くなるなど多くのメリットがあります。
まとめ
授乳は赤ちゃんとの相性もあります。
困った時は病院に相談したり、退院後であれば助産院などで授乳をみてもらうこともできます。
心配しすぎずに、妊娠中からできる準備をひとつずつしていきましょう。